2008年01月07日

医師がキャリアを築くということ (5)

あるいは僕は、「10年後の自分」式のキャリア構築に対して偏見もしくはコンプレックスを持っているのかもしれません。

医学部を受験するに当たっても、医学部卒業後の専攻科を決めるに当たっても、僕は、我ながら「何となく」決断を下してきました。
製薬業界への転職も、客観的にはそこそこ大事(おおごと)だとは思いながらも、流れに身を任せるようにあっさりとレールを乗り換えたような覚えがあります。

これまでの人生において、明確な目標を設定してキャリアを選択したという経験が僕には皆無なのです。

だからというわけではないのでしょうが、「小さい頃に難病にかかったけど名医に命を救われたので自分も医師を志した」とか、「いかなる名医でも治療できる患者さんの数は限られているが、画期的な新薬の開発に貢献できれば間接的に多数の患者さんを救うことが出来るから製薬会社に勤めようと思った」といった類型的な職業選択動機を口にする同業者に対しては斜に構えてしまうようなところが僕にはあります。

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なので、まず目標設定ありきで、それを目指して自分のキャリアを構築していく方法論ともいえる目的合理的キャリア形成についても眉に唾をつけてしまいがちなのですが、こうした考え方が間違っているという合理的な根拠を提示できるわけではもちろんありません。
単に、好き嫌いで言えば嫌いだというだけのことです(でもこんなことやってみたいと思います?)。

やや話が脱線しましたが、製薬会社に転職しようと考えている医師は、少なからぬ転職先候補が、「キャリア」というものに対してそういった考え方を要求してくるかもしれないということを認識しておく必要があります。
履歴書・職務経歴書の書き方に関して、だから、このような方法を推奨する向きもあることを覚えておくべきでしょう。

自分のこれまでの受動的なキャリア選択を正当化しようというわけではありませんが、10年先を考えて仕事をしている医師は少数派ではないかと考えます。
特に大学病院に勤める医師の場合は、財前五郎タイプの野望家を除けば、臨床では目の前の受け持ち患者を治療し、研究では指導医から要求されたことをこなし、医局の指示通りに勤務地をローテーションするという受身な生活を送らざるをえず、能動的に「キャリアを構築する」という意識は希薄になりがちなのではないかと愚考します。

多くの医師にとって結果や評価は後からついてくるものであって、予め設定するものではないのではないでしょうか。

→医師がキャリアを築くということ (6)
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自己紹介
石動(いするぎ)アキ

外資系製薬企業勤務。部長待遇。♂。

大学病院とその関連病院で臨床中心に仕事してましたが、転機が訪れ、転職を果たして5年目に入ります。

臨床開発、メディカル・マーケティング、安全性管理と経験を積み、2007年からは国際共同治験のコーディネートがメインの仕事になってましたが、2008年4月に4回目の転職を果たしました。

愛妻と愛息2人との4人暮らし(+猫2匹)。

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