2008年08月11日
医師がキャリアを築くということ (10)

ひたすらに臨床の腕を磨きたいのであれば、ターゲットとする診療科のターゲットとする疾患の治療で高い評価と実績を備えている医療機関を特定し、そこにポストを得ることが中間的なキャリア・ゴールになります。
例えば心臓外科領域であればわが国にもCOMIC(Collaborating Organization of Medical Institutes for Cardiac surgery)のような構想がありますし(COMICに関してはその評価には今しばらくの時間がかかりそうですが)、欧米に近い濃密な臨床トレーニングシステムを構築しようという動きは他の領域でも活発になりつつあります。
このようにして考えるならば、外資系の製薬会社に転職した場合などよりも、研究や臨床に特化しているぶん、医療機関に残った方がキャリア構築は医師にとって容易なようにさえ思われます。
現実がそうではなかった、そして今でもそうではない理由として、僕が思うところ2つ。
1つは、日本の医学界でかつて色濃かった(一部では今も濃い)、教授を頂点とした医局のヒエラルキーとギルド的あり方の中で、医局員が日々の仕事の中で下せる決断の幅が狭かったことでしょう。
それでも、不断の努力や運に恵まれてキャリア目標を達成した(≒例えば、教授になった)医師はいたわけですが。
2つめは、もっと普遍的な問題です。
西洋的な、キャリアゴールを設定し、日々の仕事をそれに向かうステップと見做して取捨選択し、自らの人生を方向付けしていく目的合理的キャリア形成という方法論そのものに、恐らくは無理があるのです。
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