2010年02月26日

ブランド医薬品 vs ジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品と、製薬会社に勤務した医師のキャリア構築に関する、とりとめのないお話です。

最近、開発戦略を立案する業務に携わっていてとみに気になるのは、欧米――特に米国と、日本のジェネリック医薬品の浸透度の違いです。

製薬企業における「戦略(ストラテジー)の仕事」とは、ある医薬品(候補物質)が上市された時点での規制や医療環境、市場の状況を想定して、その物質で狙う適応症や治験のデザインに落とし込んでいく作業ということになります。

米国ではジェネリック医薬品のシェアがきわめて大きいため、まだまだブランド医薬品の威光が衰えきってはいない日本とは、対象となる市場の性状が異なってきます。
このことが開発戦略に及ぼす影響は甚大で、時に国際共同開発を行っていく上での深刻な障害となりえます。

端的に言えば、米国では、開発品のポジショニングを「既存薬への治療反応性が不十分な症例への第2選択薬」、「既存薬との併用による増強療法」といった、市場を席巻するジェネリック医薬品との競合を避けられるようなところにもってこようとする傾向があります。

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ジェネリック医薬品との薬価の違いなど撥ね退けて、それでも第1選択薬となりうるような革新的な新薬を開発する場合はよいのですが(多くのメガファーマが「革新的な新薬で患者様のニーズにお応えします」的なミッションを掲げているのですから、本来はそういった新薬を開発しているはずですが)、いわゆる「"me, too" drug」の開発となると、上述したような戦略をとらざるをえないのが米国の現状です。

翻ってわが国はと言うと、ジェネリック医薬品の普及率はまだ16.9%(2006年)に過ぎず、厚生労働省が、2012年までにシェアを30%まで引き上げるという目標を掲げて活動しているような状況です(米国のジェネリック医薬品のシェアは63%)。
なので、セールス・マーケティング部門の方々の力量次第で、さほど目新しいとはいえない薬を第1選択薬として売り出したとしても、十分商売になりえます。
このため開発戦略を練る段階でも、日本サイドとしては、「フツーに(第1選択薬として)開発すればいいんじゃないの?」というスタンスになりがちです。

第1選択薬の開発を目指す治験と、第2選択薬を目指す治験とではまったくデザインが異なるので、国際共同開発(同一プロトコールでの多国間治験)を行おうとすると、この市場性の違いのために、しばしば参加国間で相克が生じるわけです。

ただ、日本の医薬品市場はいずれ米国に漸近していくと推測されるので、そのことを頭の隅において、キャリア設定していかなければならないのだろうなと、以下の記事を読んで思った次第です。



第一三共、国内で後発薬 4月に新会社(NIKKEI NET)

国内製薬3位の第一三共は日本で特許切れ成分を使った後発医薬品事業に参入する。4月に新会社を設立し、早ければ今秋にも製品販売を始める。子会社で後発薬大手のランバクシー・ラボラトリーズ(インド)とも製品開発で協力、主力事業の一つに育てる。日本の製薬大手が国内で後発薬事業を本格的に手がけるのは初めて。



昨年の11月にはメガファーマ中のメガファーマであるファイザーがやはりジェネリック市場への参入を表明したばかり(「米ファイザー、後発薬に日本で参入 大手進出、普及に弾み」)。
業界の風向き次第では、製薬会社勤務の医師に求められる専門性も変わってくるかもしれません。

[参考資料]
ジェネリックを受け入れる製薬大手
認証ジェネリック契約 ブランドファーマの土壇場の努力
ジェネリック医薬品の普及率は?

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自己紹介
石動(いするぎ)アキ

外資系製薬企業勤務。部長待遇。♂。

大学病院とその関連病院で臨床中心に仕事してましたが、転機が訪れ、転職を果たして5年目に入ります。

臨床開発、メディカル・マーケティング、安全性管理と経験を積み、2007年からは国際共同治験のコーディネートがメインの仕事になってましたが、2008年4月に4回目の転職を果たしました。

愛妻と愛息2人との4人暮らし(+猫2匹)。

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