必要経費

2008年01月03日

包括制と出来高制――出張旅費から得た教訓―― (1)

大学病院にヒラの医局員として勤務していた僕が製薬会社に転職していちばん有り難かったこと(そして今でも有り難いと思っていること)の一つが、学会に会社の「出張」として参加できることです。

大学病院勤務中はまず、スケジュールの調整が大変でした。
大学病院の医局は構造的にアンダースタッフです。
学会に行くとなると、その不在期間中に自分の受け持ちの入院患者と外来患者を診てくれる代診医を医局の中でみつけるのが一苦労でした。

そして何より路銀です。
学会から招かれる立場で参加する医局上層部の人たちとは異なり、僕のような一般参加者は学会費も旅費も自腹です。

学会参加中は他院の当直や外来のバイトを休まなければならないため実入りが減るにも関わらず、国内出張です数万円単位でかかる学会参加費はすべて自己負担しなければなりませんでした。
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その点、製薬会社では実質的な労働時間が同じであっても、かなりの部分が自己裁量でコントロールできるので(外資系では特に)、スケジュール的な都合は何とでもつけられます。

出張申請も、仕事と関係のある分野の国内学会ならば、ほぼフリーパスで承認されます。
製薬会社側としても、医師である社員には現場を離れた後も最新の知見に触れて知識をアップデートしてほしいと考えますし、何より学会はKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる主要顧客(大学病院の教授や大病院の院長クラスの、多方面で影響力のあるドクターのことです)と接触する好機でもあるからです。

そして、出張であるからには学会参加にまつわるほとんどの費用は出張費として会社が賄ってくれます。

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2007年10月08日

製薬会社に勤務する医師の余禄 (6)

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一つは、ひとえに、製薬会社に勤める医師というだけで稀少価値があるということに尽きます。
医師国家試験をパスし、医師免許を持っているあなたが、卒後数年以上経って自分の専門以外の疾患領域の勉強をすることを想像してみてください。

果たしてどれだけ勉強すれば、専門医――それもその分野のオーソリティと渡り合えるだけの知識を身につけられるでしょうか?
知識はさておき、その分野の臨床経験は0なわけです。お話にならないと思うでしょう?

しかし臨床開発でKOL(Key Opinion Leader)やTH(thought leader)と話をするにおいては、国家試験レベルの知識+αで十二分にありがたがられるのです。

考えてみてください。
医師をフルタイムの社員として雇っている製薬会社は現在でも少数派です。特に国内の製薬企業では、医師を雇っている会社は片手でも足りません。

KOLやTHは、普段そういう会社と付き合っているわけです。
臨床開発部門のスタッフはどこの会社でも薬剤師免許を持っている人が多いのですが、もちろん臨床のことは何も知りません。

そのような人たちのレベルに合わせてプロトコルの詰めを行うというのは、ハイレベルのドクターにとって、かなりの負担に感じられるようです。
専門が違っても、医師というだけで、非医師の製薬会社社員に比べればマシに感じられるのでしょう。

医者の世界独特の身内意識のようなものも働くのかもしれませんが、KOLやTHにお会いした時に、医者であることを明かすだけで随分と胸襟を開いてもらえるものです。

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製薬会社に勤務する医師の余禄 (5)

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普通に医者をやっていて、KOLやTHクラスのドクターとお目通りが適うことなどそもそもありません。
学会で言えば、シンポジウムのシンポジストをしていたりするような面々なのです。

製薬会社の社内医師という肩書きがあると、そういった方々とフェイス・トゥ・フェイスでお会いし、治験のプロトコルを通じて、専門的なディスカッションに、けっこうな時間を割いていただくことができます。

これは論文や教科書を読む以上に勉強になりますし、非医師の他の社員に対して大きくアドバンテージを示すことができる場面でもあります。

もちろん、KOLやTHクラスのドクターのお時間をいただき、ディスカッションをするわけですから、大前提として、事前の準備は十分にしておかなければなりませんし、そうしなければ失礼に当たります。
自分の専門分野外の臨床開発を受け持つ場合は特に、医学生以来開いていなかった教科書を読んでその治療領域の最低限の知識はレストアし、プロトコルに絡む部分については、付け焼刃でもいいのでそれなりのものを用意しておく必要があります。

そうした準備をしておけば、明らかに若輩で、専門外の医師であっても、KOLやTHにぞんざいな扱いを受けることはそうはありません。

それには大きく、2つの理由があります。

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2007年10月05日

製薬会社に勤務する医師の余禄 (4)

余禄というとどうしてもお金の話ばかりになりがちですが、実は医師が製薬会社に勤めた場合、仕事そのものが余禄と感じられることが少なくありません。

たとえば臨床開発の仕事で治験を行うにあたっては、その準備段階で、その開発物質が標的とする治療領域における権威である医師とのコンタクトが不可欠です(治験の実行段階ではまたその重みが違ってきますが。そのあたりはまた別の記事で)。

KOL(Key Opinion Leader)やTH(Thought Leader)と呼ばれるこうした医師は、学界では押しも押されぬ重鎮、有名大学の教授や大病院の院長であることがほとんどです。

プロトコルの妥当性や実施可能性について彼らのインプットをもらわなければなりませんし、彼らの「お墨付き」があることを治験のキックオフ・ミーティングで治験参加医師に対して示していただくことがスムーズな進行に不可欠だからです。
100%の参加医師が納得するプロトコルはありえないのですが、KOLやTHが賛同していることを示すことで「なら仕方ないか」と思っていただくわけです。

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2007年09月26日

製薬会社に勤務する医師の余禄 (3)

医学書や専門誌の購入も会社に経費として請求することができます。

もちろん業務に必要だから買うわけですが、大学病院時代は自腹で買って当たり前という感覚だったので、高価な医学書を自分の裁量で自由に買える現在の状況は非常にありがたいものです。

買ってみたらあまり役に立たなかった、という場合でも、自分のお腹が痛まないのでショックはありません。

会社によっては英語学習用のテキストや雑誌も「自己啓発書」というカテゴリーで経費での購入を認めています。
僕の場合、最初に勤めた会社は特別の手続きなしにこういった書物の購入が可能な制度をとっていました。
現在勤めている会社は当初はこうした図書の購入に難色を示しましたが、交渉の結果、ほぼ自由に購入が認められることになりました(特に外資系の会社では、何事も駄目もとで交渉してみることが大切です)。
英語だけではなく、ビジネス書の類もこの枠で購入可能です。

このように、病院(特に大学病院)と比べると製薬会社勤務には給料以外にかなりの余禄があり、また会社によってその幅が異なるので、転職を考えられる際にはこうした部分についても確認して、総合的に判断されるのがよいだろうと思います。

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2007年08月23日

製薬会社に勤務する医師の余禄 (2)

ドナウ川奇しくも今、この記事を海外出張中のホテルの部屋で書いています。

某国のペニンシュラ・ホテルです。

開発の仕事で、国際共同治験を企画するに当たり、数ヶ国からKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるその疾患領域の権威を招いての会議が明日行われるので、準備のために先入りしました。

写真は、一昨年に研修で行ったウィーンで撮ったドナウ川です。
この時はヒルトンホテルに1週間ほど逗留しました。

要するにまあ、製薬会社の出張では、それくらいのグレードのホテルには泊まれます。

また、これは外資系では普通のことのようですが、海外滞在中の食費は、よほど極端なものではないかぎり全て会社持ち(レシートを提出して事後清算)なので、その土地その土地の名物料理は懐を痛めずに堪能することができます。

もちろん観光に行っているわけではないので、仕事はせねばならず(それも英語で)、自由に行動できる時間はかなり限られますが。

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2007年08月18日

製薬会社に勤務する医師の余禄 (1)

製薬会社に勤務した場合、給与以外にも、有形無形の余禄があります。

まず学会費用。
年会費や参加費は必要経費として会社が払ってくれます。学会出席も出張として認められるので交通費も旅費も支給される上に2000〜3000円程度の「日当」も出ます。

すべて自腹で、外来を休んで学会に参加していた大学病院時代と比べるとこれだけでも夢のようです。

海外で行われる国際学会についても、会社にもよりますが、年1〜2回の参加が認められます。
飛行時間が3〜5時間以上のフライトを利用する場合は、ビジネスクラスの使用が認められることがほとんどで、3つ星〜4つ星クラスのホテルに泊まることができます。

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自己紹介
石動(いするぎ)アキ

外資系製薬企業勤務。部長待遇。♂。

大学病院とその関連病院で臨床中心に仕事してましたが、転機が訪れ、転職を果たして5年目に入ります。

臨床開発、メディカル・マーケティング、安全性管理と経験を積み、2007年からは国際共同治験のコーディネートがメインの仕事になってましたが、2008年4月に4回目の転職を果たしました。

愛妻と愛息2人との4人暮らし(+猫2匹)。

【民間医局】ドクターエージェンシーシステム
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